胃腸炎の原因にはウイルス、細菌、寄生虫等多数がありますが、最もかつ圧倒的に多い
のがウイルス性です。また厳密には胃炎と腸炎に分けられ、前者は嘔吐、後者は下痢が主
症状ですが、下痢についてご質問ですので、今回は腸炎についてお答えします。
胃腸かぜとの表現は医学用語にはありませんが、俗称としてウイルス性と考えられます
。かぜ(風邪)は咳・鼻水・咽頭痛等の症状を呈する咽頭・喉頭部(上気道)のウイルス
感染症の名称です。原因のウイルスとしては、主に上気道に感染するライノ・パラインフ
ルエンザ・インフルエンザ・コロナウイルス等の他に、エンテロウイルス等の主に腸に感
染するウイルスも原因となります。前者は直接腸管に感染する場合もありますが、感染な
しに腸の活動を誘発し間接的に下痢も起こします。大人でも起こりますが、小児の方が多
く認められます。
ウイルス性胃腸炎は腸炎のみではなく胃炎も同時に起こしますが、症状としては下痢の
みの場合が多く認められます。
下痢はインフルエンザ、新型コロナ等でも見られますが(特に乳幼児)、胃腸かぜと表
現される場合は、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、そ
の他かぜの原因となる種々のウイルスがありますが、前2者が特に有名で、頻度も多く、
代表格となります。ロタウイルスは嘔吐も来たし重症となり、入院が必要となりますが、
近年傾向ロタワクチンが普及し、重症例は激減しました。
インフルエンザ等ごく一部を除き、特異的にウイルスに効く薬はなく、また多くがアル
コール無効で、次亜塩素酸による消毒が必要であり、治療としては水分とイオン(短期的
にはナトリウム、すなわち塩分)を補充するのみでよく、流行している場合に原因ウイル
スを見つける努力は不要です(食中毒、病院内感染等除く)。
下痢で失われる水分とイオン(塩分)を補うため、普段以上に多くあげて、通常1週以
内の自然治癒を待ってください。

2022年5月20日

船橋ベイサイド小児科