アデノウイルスは51の型あり、それぞれ特有の病態の原因となります。感染経路は飛沫
・接触感染で、アルコールは有効ですが、インフルエンザと比べると弱いです。潜伏期(
感染から発症までの期間)はインフルエンザよりやや長い5日程度です。診断は迅速診断
キットで可能ですが、特効薬はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。
咽頭結膜熱は、主に3型が原因となり、小児ではアデノウイルス感染症の最も多い病型
で、発熱を伴う咽頭炎と眼球の充血が認められます。発熱は最大7日続く事があり、主要
症状が消失して2日を経て登校・登園が許可されます。扁桃に白色滲出物が認められる時
もあり、溶連菌による扁桃炎との鑑別が必要となります。別名プール熱と言われています
が、現在はほとんどがプールとは関係なく、通年性に発症します。
流行性角結膜炎は、主に8型が原因となり、眼症状が非常に強く、眼科医の診察・加療
が必要となります。
出血性膀胱炎は、主に11型が原因となり、骨髄移植等の強度の免疫抑制状態では腎臓を
含む多臓器障害を来たし死に至ることがありますが、通常は数日で自然治癒します。血尿
が強く尿量が減少する凝血塊による尿閉塞のリスクが生じますので、水分を十分とり排尿
を頻回とする必要があります。
胃腸炎は主に41,42型が原因となりますが、ロタウイルスと比べ軽症です。
いずれにしても特効薬はありませんので、あせらず自然治癒をめざしてください。

2021年9月26日
2023年6月11日改定
医療法人社団 船橋ベイサイド小児科
院長 佐藤武幸

船橋ベイサイド小児科